「現状」と「実態」。
日常生活や仕事でふんだんに使う言葉です。
でも、この違い…、まぎらわしいですよね。
「現状を報告」
「実態を報告」
このように、2つ並べても同じことをいっているような…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「現状」と「実態」では決定的な違いがありました!
本記事では、「現状」と「実態」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「現状」と「実態」の意味の違い!
最初に、「現状」と「実態」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「実態」とは、物事のありのままの様子、ありさまのこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「現状」の意味とは!
「現状」は、物事の現在の様子、ありさまのこと。
現在の状態ということもできますね。
ポイントとなるのが「現在」という部分。
これはつまり、「過去」の状態ではいけません。
現在の様子でなくてはいけないということです。
たとえば、仕事の外出先でトラブルが発生し、上司に相談した時に言われるのが「現状を報告しろ」「現状はどうなっている?」といった言葉。
この場合、上司が知りたいのは「現在の状態」「現在の様子」です。
そして、報告する内容は「今、お客様の怒りが収まりそうもありません」「現在は、とても話し合いができる状態ではありません」といった、現在の様子を伝えることになるのですね。
②「実態」の意味とは!
「実態」は、物事のありのままの様子、ありさまのこと。
実際の状態ということもできますね。
そして、ポイントとなるのが「ありのまま」という部分。
この「ありのまま」を強調しているのには理由があります。
たとえば、一目で理解できるような物事であれば、「状態」や前の項目の「現状」といった言葉でよいわけで。
では、「状態」や「現状」にはない「実態」の意味とは…。
それは、一目で確認できない、外からはなかなか見えないものの様子に使うのが「実態」なのです。
たとえば、「子供の貧困の実態を探る」といった使い方をします。
これは、なかなか知ることができない、隠れて見えにくい子供の貧困状態を探るという意味。
あとは、「外国人の不法就労の実態に迫る」といった使い方。
これも、外国人は不法の場合は隠れて仕事をしますので、なかなか見えにくいものです。
要するに、表面に見えない部分、そういった物事の様子に対して使うのが「実態」ということ。
「ありのまま」には、暗にそういった意味があるのです。
③「現状」と「実態」の違いを整理!
それでは、ここで一度「現状」と「実態」の意味の違いを整理します。
物事の現在の様子、ありさまが「現状」。
「現在」が最大のポイントで、一目でわかるものか隠れているものかといったことは問いません。
物事のありのままの様子、ありさまが「実態」。
「ありのまま」という部分がポイントで、「一目でわからない」「隠れているもの」の状態のことを暗に示しています。
「実態」は「現在であるかどうか」はポイントではありませんが、あんまり古い情報だと使えないかもしれませんね。
2.「現状」と「実態」の辞書での意味!
続いて、辞書による「現状」と「実態」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「現状」の辞書での意味!
【現状】
・現在の状態。現況。「―打破」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容ですね。
②「実態」の辞書での意味!
【実態】
・実際の状態。実情。「―を調査する」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりですが、「見えない部分」「隠れているもの」といった表記は特にありません。
3.「現状」と「実態」の使い方!
最後に、「現状」と「実態」の使い方を例文で紹介します。
①「現状」の使い方!
・日本銀行は金融政策の現状維持を決定しました。
・常識を覆す女性の社会進出で現状打破できるか?
・情報セキュリティ対策の現状把握を支援。
・今どきの若者の現状について詳しく聞いた。
②「実態」の使い方!
・キャッシュレス決済の実態調査を行う。
・勤務実態を探るため県教職員組合が行った調査。
・収支の詳細な報告がないため実態解明が進むかは不透明。
・飛行機のバードストライクの実態とは。
まとめ
以上が、「現状」と「実態」の意味の違いと使い分けについてでした。
「現状」は、物事の現在の様子、ありさまのこと。
「実態」は、物事のありのままの様子、ありさまのこと。
「現在」がポイントになるのが「現状」、「ありのまま」がポイントとなるのが「実態」です。
「現状」と「実態」の意味の違いを説明しましたが、「実態」と似た意味の言葉で「実際」があります。
「実際」と「実態」の違いも意外にまぎらわしいです…。
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