「実情」と「実状」の違いって、なんだ…?と思い…
実際に辞書で調べてみたのですが、辞書によっては同じ意味として載っているものもあるようです…。
そこで、広辞苑を調べてみたのですが…、微妙な違いを解説していました…。
しかも、凄く分かりにくい表現で…。
パッと見ても、伝わらないのでは?といった気持ちになりましたよ…。
そこで、本記事では、「実情」と「実状」の意味の違いや使い分けについて、広辞苑の内容をさらに分かりやすく、例文を使って説明していきます。
しっかりと、ご理解いただけると思いますのでご期待ください!
1.「実情」と「実状」の意味の違いと使い分けは?
「実情」と「実状」を広辞苑で調べてみると、先にお伝えしたとおり別々に記載されています。
ですから、意味も違うということ。
①まことの心。真情。経国美談「悔悟の実情を表せしめり」
②実際の事情。ありのままの情況。「表向きはそうだが、実情はこうだ」
【実状】
①本来の姿。
②実際のありさま。「実状を視察する」
パッと見て、分かりにくいのですが…。
よくよく見比べてみると…、要するにこれ。
目で見てわかる・外面的な物事のありさまが「実状」です。
そして、その実状の裏に隠されていることや物事の内面まで見るのが「実情」です。
「実情」の「情」の字には、心や気持ちという意味がありますよね。
たとえば、「心情」「情熱」「感情」などの言葉があります。
「実状」の「状」の字は、「状態」や「状況」など、目でみてわかる様子を表すときに使います。
そして「実情」と「実状」に共通している「実」の字には、「真実」という意味があり、「真実」のほかに「実際」といった意味もあります。
こういった漢字の意味を組み合わせると、以下のとおりになります。
「実情」→「真実の心情」「実際の感情」
「実状」→「真実の状況」「実際の状態」
一言でまとめると、目で見えないのが「実情」、目で見えるのが「実状」ということもできます。
2.「実情」と「実状」の使い方を例文で解説!
二つの使い分けや例文がこちら。
【実情の具体的な使用例】
・本人が苦労してきた現在の実情。
(本人の苦労は本人以外には見えない部分が多いです。)
・裕福な暮らしの実情が彼の人生。
(裕福の暮らしの裏には何があるのか、目に見えません。)
・芸能界の人間関係の実情を暴露する。
(芸能人の人間関係は一般人には見えません。)
・間夫に尽くせる実情、こみ入つたる事(洒落本・婦身嘘)
(間男に尽くす気持ちは見えません。)
※人の心情・気持ちを含む内面の事情を含んでいますので、「実情」が使われます。
【実状の具体的な使用例】
・被害の実状を調査する。
(被害の状況は目で見て計算します。)
・トラック業界の当時の実状。
(トラック業界の目で見える状況のことです。)
・労働運動の実状について。
(労働運動がどのような展開をしているのかの状況です。)
・周囲の実状とは。
(目で見える周囲の状況のことです。)
※この場合は実際の外面的な状況が主体となり、心情は含まれませんので「実状」が使われます。
こうして見てみると、「実情」は「事情」とよみかえることができますね。
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まとめ
以上が、「実情」と「実状」の違いや使い分けについてでした。
同じ読み方の漢字ですが、意味が違うということですね。
「状」は外面的。
そして「情」は内面的、事情やそれに携わる人の心情まで含めた「ものごとのようす」をあらわすと覚えておくとよいですね。
「実情」「実状」の「実」は「実際」「真実」「現実」の「実」、「ほんとうの」「ありのままの」という意味です。
日本語は、漢字は違うのに同じ読み方の言葉がたくさんあります。
たとえば「工場をかどうさせる」の「かどう」は、漢字で「稼働」?「稼動」?どっちだと思いますか?
詳しくは、下の記事を覗いてみてください。