「多文化主義」という言葉を新聞やテレビのニュースで見聞きすることがありますよね。
「多文化主義」、なんとなく素晴らしい言葉というのは伝わります。
素晴らしいことなのですが、その反面、問題点もあるというのです。
ということで、今回は「多文化主義」の意味や問題点などについて調べてみました。
1.「多文化主義」とは?「多文化主義」の問題点は?
最初に「多文化主義」を広辞苑で引いてみます。
・一つの国・社会に複数の民族・人種などが存在するとき、それらの異なった文化の共存を積極的に認めようとする立場。
人種だけでなく、民族や階層、性的マイノリティーなどあらゆるマイノリティー(少数派)が自らの歴史や文化、アイデンティティーを保持するだけでなく、他者もそれらを積極的に容認し、皆で仲良く生きていこうというのが「多文化主義」です。
「私たちは少数派で声も小さいのですが、この地域は、私たちの意見も尊重してくれる素晴らしい地域だ!」ということですね。
かつてはアメリカのニューヨークは、「人種のるつぼ」といわれていました。
「るつぼ」とは、様々な金属などを高温加熱してドロドロに溶融するための容器のことです。
要するに、ニューヨークは様々な民族が集まる都市なのですが、それが交ざりあって一つになるといった意味です。
ですが、それぞれが交ざりあって一つになるということは、それぞれの個性がなくなってしまうともいえます。
ですから昨今では、交ざりあっても溶け合うことはない、つまり個人の個性は保たれているということで「人種のサラダボウル」という表現が使われるようになりました。
サラダボウルの中の、トマトやレタスはきちんと形も味も残っていますからね。
これが「多文化主義」です。
では、「多文化主義」が広がることで、どういった問題が起こるのでしょうか。
それは、異なる文化や習慣や価値観の人が一緒に生活することで、様々な衝突が生まれるということです。
たとえば、日本人の多くは「郷に入っては郷に従え」といった価値観を持っています。
つまり、自分がその土地を訪れるのであれば、その土地のルールに従おうといった考え方です。
ですが、日本にやって来る外国人全てが「郷に入っては郷に従え」といった価値観を持っているとは限りません。
日本人の多くは、「日本にやって来たのであれば、日本の習慣に合わせるべきだ!」と考えるでしょう。
ですが、外国人が「日本に来たけれども、自分の習慣は絶対に守りたい!」といった考えなのであれば、衝突が起きる可能性が出てくるということです。
また、「謝罪」についても国によっては考え方が様々です。
日本人は結構簡単に「謝罪」しますが、外国によっては「簡単に謝罪はしてはいけない」といった文化の国もあります。
人によっては、「あなたは謝罪し、自分の落ち度を認めたのであれば、全ての損害賠償を負うべき」といった事態になる可能性もあるのです。
そしてこうした衝突は、「職場」「学校」「宗教」「食事」「生活」など様々な場面で発生します。
こういったように、異なった文化や習慣の人々が一緒に生活するということは、様々な問題が生まれてくるということなのです。
2.「多文化主義」の問題点を具体例で紹介!
それでは、多文化主義で起きている問題を具体的な例で説明します。
その多文化主義の問題点として、多く挙げられるのは「宗教」の問題です。
仮定の話で説明します。
たとえば、日本には信者がほとんどいない、ある仮定の宗教の信者は鶏肉を食べません。
そこで問題になるのが、信者の子供が学校で食べる給食の鶏肉です。
そういった場合は、仮定の宗教の信者は子供のためにお弁当をつくることになるのです。
こういった対応に対して、多くの日本人は、「日本に来たのであれば、日本の学校で鶏肉が出されることは当たり前であり、鶏肉を食べることができないのであればお弁当を持参することは当然」と思うでしょう。
ですが、全ての宗教の信者がお弁当を持参するとは限りません。
中には、その宗教に合わせた学校給食にするよう抗議する人も少なくないのです。
結果して、宗教信者の要望通り、学校給食から鶏肉を排除した学校があります。
これによって、学校にいる多くの日本人がその宗教に合わせた給食を食べているのです。
これが、「郷に入っては郷に従え」といった価値観を持っているか、持っていないかの違いなのです。
こういった、小さな衝突がどんどん積み重なっていくと、やがてさらに大きな問題へと発展していき、最後にはどうなのか想像するのも怖いです。
世界中で起きているテロなどの事件は、こういった様々な民族の文化の違いから生まれるものも少なくないのです。
この学校給食の問題は、仮定の宗教で説明しましたが、実際に起きていることです。
まとめ
以上が「多文化主義」の意味や問題点などについてでした。
多文化主義とは、異なる民族や人種の人々が混在するとき、それぞれの歴史や文化を容認しながら共存していくという考え方です。
ポイントは、「容認」はするけれど「同化はしない」こと。
日本の「郷に入っては郷に従え」とは少し違った考え方ですね。
現在、多文化主義や移民の増加によって、民族同士の対立が起きるといった問題が少なくないのです。