「表彰」や「受賞」というと、よく何かの大会で使いますよね。
普段は「表彰」も「受賞」も意味をそれほど深く考えることは少ないと思います。
ですが、これが主催者側になって式典を開催しなくてはいけないということになるとどうでしょう。
まぎらわしい「表彰」と「受賞」の意味をキチンと理解しておかなくてはいけませんよね。
ということで、今回は「表彰」と「受賞」の意味の違いや使い分けなどについて調べてみました。
1.「表彰」と「受賞」の意味の違いや使い分けは?
まずは、「表彰」と「受賞」の意味を辞書で調べてみます。
・善行や功績のあった人や団体をほめたたえて、広く人々に知らせること。
【受賞】
・賞を受けること。
ということで、「表彰」の方は何らかのよい行い、またスポーツ大会やコンクールなどで好成績を残した人や団体をほめて広く知らせるという意味です。
何らかのよい行いとは、たとえば「人命の救助」や「長年の献血」といったものがあります。
そしてスポーツ大会やコンクールでは、「オリンピック」や「作文コンクール」などがあります。
一方の「受賞」とは、「賞状」「賞金」「賞杯」などを受けるという意味です。
たとえば、「市長杯を受賞する」「芥川賞受賞」というように使います。
では、ここから「表彰」と「受賞」の違いを細かく分析していきます。
①「ほめて広げる」と「賞を受ける」の違い!
「表彰」とは、「ほめたたえて、広く人々に知らせる」という意味に対し、「受賞」は「賞状や賞金を受ける」という意味になります。
つまり、「表彰」は「賞状や賞金を渡す」という意味はありませんし、「受賞」の方は「ほめられて広く知らされる」といった意味はありません。
ですから「表彰」とは、仮に賞状や賞金などの渡すものがなくても、ほめたたえて広く公開されれば表彰なのです。
まあ、実際に賞状や賞金など渡すものがないということはありえませんが。
そして「受賞」の方は、仮に非公開で内密に行われたとしても、賞状や賞金を受け取れば受賞となります。
これも、実際に内密に行われることはないでしょう。
②「ほめたたえる側」と「受ける側」の違い!
それから、「表彰」はよい行いや功績を残した人ではなく、その人をほめたたえる側が行い広く人々に知らせます。
一方の「受賞」は、よい行いや功績を残した人や団体側が賞状や賞金を受けるのです。
ただし、間違いやすい言葉で「授賞」があります。
「受賞」の「受」は「うける」、そして間違いやすい「授賞」の「授」は「さずける」です。
「さずける」とは「与える」「わたす」という意味です。
ですから、「受賞」は受ける側で、「授賞」はわたす側になります。
ご注意を。
ということで、「表彰」を行うのはほめたたえる側、「受賞」はよい行いや功績を残した側が受ける、といった違いがあります。
2.「表彰」と「受賞」の具体的な使い方は?
それでは、「表彰」と「受賞」の使い方について、例文で紹介しますね。
・○○氏は火災時の人命救助に協力したとして○○消防署より表彰、感謝状を受賞した。
・吹奏楽コンクールにおいてみごと金賞に決まった○○高校、表彰式が行われトロフィーを受賞した。
・オリンピックの表彰式では、金メダル受賞者の国旗が掲揚されます。
・昨年の文学作品優秀賞の表彰式に本人は参加できず、代理人が記念品を受賞した。
・国内でも権威のある○○賞の表彰式ですが、■■氏は受賞を拒否しているのでどうなるのか心配。
・○○氏の功績が認められ、文部科学大臣賞を受賞、あわせて文部科学大臣表彰記念碑が建立された。
例文を紹介させていただきましたが、「表彰」という言葉の使い方である法則があるのに気づきましたか?
それは、「表彰」はどちらかというと、表彰する側が上から目線で行うということ。
たとえば、「表彰」をする側が「国」「行政機関」「会社経営層」「主催者」といった場合が多いです。
ですから、上から目線的な表現を避ける際は、「贈呈」や「贈呈式」といった表現を使います。
ところで、「受賞」と似た言葉として「授賞」を紹介しましたが、その他に「受章」という言葉があります。
まぎらわしいですね。
「受賞」と「受章」の意味の違いについては、下の記事で解説していますので、もし興味がありましたらご覧ください。
まとめ
以上が、「表彰」と「受賞」の意味の違いや使い分けなどについてでした。
「表彰」とは、「ほめたたえて、広く人々に知らせること」、「受賞」は「賞状や賞金を受けること」という違いがあります。
さらに、「表彰」を行うのはほめたたえる側であり、「受賞」はよい行いや功績を残した側、といった違いもあります。
「表彰」は、少し上から目線的なイメージがありますので、表彰する側がへりくだる場合は「贈呈」を使います。