表彰にもメダルにも賞状にもまるで縁のない人生を歩んできたので、表彰タテが「盾」なのか「楯」なのかなんて考えたこともなかったのですが、そういわれてみれば、どっちの「タテ」なのか悩みますね。
「表彰盾」のような気がするけど、うーん……。
ということで今回は、「盾」と「楯」の意味の違いなどについて調べてみました。
1.「楯」と「盾」の意味の違いは?
広辞苑には、「楯・盾」と同じ項目で載っていました。
「戦陣で、手に持ち、または前方に立て、敵の矢・銃丸・槍・剣などを防ぐための武器。(広辞苑より)」が楯・盾です。
要は防具ですね。
防具としての「楯」と「盾」の違いを調べると、「楯」は「木」が付いている通り、盾の中でも木製の盾のことです。
3世紀末頃につくられた中国の歴史書「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」では、倭人(日本人)が防具として木製の楯を使用していたとの記述がありますが、その文字が「楯」です。
この当時で既に「盾」と「楯」が使い分けられていたようです。
ですから鉄製や革製の防具は楯ではなく、「盾」なのですね。
「盾」の漢字は、「目の上におおいのある形」の象形文字です。
戦場では盾で目や顔を守りながら、敵と戦っていたのでしょう。
ちなみに、「盾」は常用漢字ですが「楯」は常用漢字ではありません(人名用漢字ではあります)。
なので、公用文では「盾」を使用します。
「楯」の字をさらに調査したところ「手すり・欄干」といった意味もありました。
表彰タテでは、一般的には常用漢字である「表彰盾」と書くことが多いようです。
ただし、表彰タテの販売元などを調べてみると、「盾」と「楯」が以下のように使い分けしているところも多くありました。
・表彰タテ自体が盾の形状になっている表彰タテやワッペンなどは「盾」「表彰盾」
・木製の板に表彰アイテムをとりつけるものは「表彰楯」
これで整理すると実物の「盾」と「楯」の違いは以下のとおりとなります。
【盾】
【楯】
また、検索されやすいように「盾」「楯」両方の文字を表記しているところもあります。
2.「トロフィー」と「楯」「盾」との違いや由来は?
「トロフィー」とは「競技などの優勝・入賞記念品。装飾を施した杯・盾など。(広辞苑より)」のこと、つまり、トロフィーの中に表彰盾(楯)が含まれるのですね。
トロフィーの由来を調べてみると、はじまりは紀元前にさかのぼります。
古代ギリシャ人などが戦勝後、敵から奪った武器や兜や盾(楯)などの防具を、戦利品として樫の木の幹に飾ったものをトロフィーと呼んでいました。
これが「トロフィー」、つまり戦利品という意味だったのですね。
「盾(楯)」の由来もトロフィーと同じです。
戦った敵の防具「盾(楯)」を奪い戦利品としたのですね。
優勝杯(カップ)もトロフィーの一つです。
優勝杯というと、大相撲の天皇賜杯や総理大臣杯がそれです。
「優勝カップ」の始まりもトロフィーと同じ古代ギリシャですね。
敵の頭蓋骨に金・銀・宝石などを飾ったカップを作り、それで酒を飲み戦勝を祝う風習が優勝カップの始まりだそうです。
織田信長を思い出しますね。
まとめ
以上が、「盾」と「楯」の意味の違いなどについてでした。
大会で優勝したり入賞したときにもらえるのがトロフィー、トロフィーが表彰盾(楯)のこともあるし優勝カップのこともあるし、それ以外の記念品のこともあります。
表彰タテは表彰アイテムを付ける板が木製の時は「表彰楯」というようですが、常用漢字である「表彰盾」と書くこともあります。
どっちの漢字を使っても誤解を招くことはないでしょう。