「物を所有する」の「所有」と似た言葉で「占有」があります。
「占有」は、日常的に頻繁に使う言葉ではありまあせん。
ですが、「所有」との使い分けが今一つまぎらわしい言葉です。
ということで、「所有」と「占有」の違いを徹底的に調べてみましたよ!
本記事では、「所有」と「占有」の意味の違いと使い分けについて、徹底調査した結果をお伝えしていきます。
かなり、奥深く調べましたのでご期待ください!
1.「所有」と「占有」の違い!
最初に、「所有」と「占有」の違いを簡潔にお伝えします。
「占有」とは、自分がその物を支配していることです。
では、さらにわかりやすく説明していきますね。
①「自分の物として持つ」と「支配する」の違い!
「所有」と「占有」の最大の違いのポイントはその物の「名義人」です。
「所有」とは「自分名義」の物を持つこと。
ですから、「所有」している人はその物を持ち続けることもできますし、捨てることもできます。
そして「占有」は、誰の名義であってもその物を支配していれば「占有」していることになるのですね。
たとえば、賃貸アパートの部屋に入居して生活したとします。
アパートの部屋を「所有」しているのは大家さんです。
そして、アパートの部屋を「占有」しているのは部屋を借りた入居者ということになるのですね。
②「占有」は違法の場合もある!
たとえば、物に対価を支払い購入することで合法的に「所有」することができますが、「占有」は必ず合法であるとは限りません。
たとえば、車を盗んで、その車を使い続けたとします。
これも、他人「所有」の車なのですが、泥棒した人が「占有」していることになります。
泥棒した人が車を支配しているから「占有」なのですね。
ちなみに、盗まれた車を「所有者」が「占有者」から力ずくで取りもどすことはできません。
これは、「占有者」が盗んだ物であっても「占有権」で守られているためです。
「所有者」が、車を取り戻す方法は話し合いか被害届か訴訟です。
被害届を出すことで、窃盗ということになるのですね。
③「所有」と「占有」は共存する場合がある!
自分の名義の物を持つことが「所有」、物を支配していることが「占有」ですが、この2つは共存することもあります。
自分で車を購入してその車を使うことで、「所有」して「占有」していることになるのですね。
これは、洋服でも自転車でもマイホームでも同じです。
④「所有」と「占有」の違いを整理!
では、一旦「所有」と「占有」の違いを整理しますね。
「所有」とは、自分の名義の物を持つことです。
そして「占有」とは、名義人にかかわらずその物を支配すること。
「所有者」から盗んだ物であっても、盗んだ人はその物を支配することで「占有」していることになります。
名義人と支配している人が同一の場合は、「所有者」と「占有者」は同一人物となります。
2.「所有」と「占有」の辞書での意味!
次に、辞書で「所有」と「占有」の意味がどうなっているのかみていきましょう。
①「所有」の辞書での意味!
【所有】
・自分のものとして持っていること。また、持っているもの。「―地」「―者」引用元:旺文社国語辞典
これは、自分の名義の物を持つということですね。
要するに、前の項で説明した内容と同じです。
②「占有」の辞書での意味!
【占有】
①自分のものとすること。「市場―率」
②民法では、自己のためにする意思を持って物を所持すること。「―権」引用元:旺文社国語辞典
意味①は「自分の物とすること」、意味②が「物を所持すること」となっていてわかりにくいのですね。
要するに、名義は関係なく支配するということです。
3.「所有」と「占有」の使い方!
続いて、「所有」と「占有」の具体的な使い方をご紹介します。
①「所有」の使い方!
・バスは旅行会社の所有物ではなかった。
・多くの靴を所有しているがほとんど使わずに飾ってある。
・2日前から所有者不明の車が放置されている。
・美術館に展示されている絵画の所有者はフランス人。
・所有している自宅を担保に借金をする。
②「占有」の使い方!
・2人用の座席を1人で占有してしまう。
・父の腕時計だが普段は自分が使っているので占有権は自分。
・正体不明の人間がいつの間にかビルを占有している。
・アパートの部屋の占有者が行方不明になりその家族が入居してしまった。
・自分の土地であるが占有している会社は介護施設となっている。
4.「所有」や「占有」には似た意味の言葉がたくさんある!
「所有」や「占有」には、似たような意味の言葉が多いです。
たとえば、「保有」。
「所有」と「保有」の違いは、手放す前提があるかどうかがポイントになります。
「所有」の方は、自分の物として持ちますが、基本的に手放すことを前提としていません。
ですが、「保有」の方は「株式」などのように、後に手放すことが前提の物に多く使われます。
詳しい内容については、下の関連記事をご覧ください。
その他にも、「所有」や「占有」に似たような意味の言葉はたくさんあります。
下の関連記事も覗いてみてください。
ぜひ参考にしてください。
まとめ
以上が、「所有」と「占有」の意味の違いと使い分けについてでした。
「所有」とは、物を持つことなのですが、必ず自分の名義の物に限ります。
一方の「占有」とは、物を支配することであり、この場合は自分の物であるか他人の物かは関係ありません。
ですから、盗んだ物であってもその物を支配することで「占有」していることになってしまいます。
また、「所有」と「占有」はお互い共存しますので、「所有者」と「占有者」が同じであることは普通のことなのですね。