「電灯」といえば、電気式の照明のことですよね。
また「動力」といえば機械などを動かす力、動かすエネルギーのことですよね。
しかし、この「電灯」と「動力」なのですが、電気の小売り、売買する世界の中では少し意味合いが違うようです。
たしかに、エアコンなどを新規に取り付けする際は、専門の電気屋さんに「このエアコンは“電灯”の契約で大丈夫」とか「このエアコンは“動力”の契約が必要」などと、ちょっと意味がわからないような説明をされたのをおぼえています。
ということで、今回は電気の小売りの世界での「電灯」と「動力」の違いなどについて徹底的に調査してみました。
1.「電灯」と「動力」の意味の違いは?
①「電灯」とは何のこと?
「電灯」とは、一般的には電気を利用した灯火のことで、つまり電気式の照明器具のことです。
ただし、電気の小売りの世界での「電灯」の意味はちょっと違ってきます。
その世界で「電灯」とは、照明類と小型機器などの機器(負荷)を使用するための「電気の販売会社と結ぶ契約の種類」のことです。
ちなみに小型機器とは、主として、住宅・店舗・事務所などにおいて単相で使用される、照明機器以外の電気機器のことです。
わかりやすくいえば、照明機器と家庭用のコンセントから使える電気機器は「電灯」の部類に入ります。
「電灯」は、主に単相2線式か単相3線式での電気供給となります。
②「動力」とは何のこと?
「動力」とは、一般的には何らかの(電気以外も含む)エネルギーを、機械などを動かす力に変えたものです。
つまり機械に仕事をさせるために、直接使えるエネルギーのことですね。
ただし、電気の小売の世界での「動力」とは、主に電気式の大型モーターなどの機器(負荷)を使用するための「電気の販売会社と結ぶ契約の種類」のことです。
製造用機械や大型エアコン・大型冷蔵庫など、家庭用ではないモーター類のことです。
主に3相3線式での電気供給となり、家庭用の「電灯」で使用する電源である単相2線や単相3線式では「動力」を使用することができません。
ただし、3相以外、つまり単相であっても大型のヒーター機器に関しては動力の部類に入る場合があります。
こういった動力の部類に入る電気機器は、基本的には家庭用の電気機器のようにコンセントに差し込み使用することはできません。
「動力」は、3相電源に機器の配線を直接つなぎ固定されている場合がほとんどです。
2.「電灯」と「動力」、電力会社との契約内容や電気料金の違いは?
「電灯」と「動力」で、料金などの違いはあるのか調査しました。
今回は低圧供給の一般的なメニューだけで、高圧供給以上などについての説明は省略します。
低圧供給とは、基本的に交流で600V(ボルト)以下で電気を供給することなのですが、日本の電気の小売りの世界では多くが100V~200Vでの供給が条件となっています。
そして「電灯」は単相2線式100Vか単相3線式100V/200Vで供給されます。
契約メニューの名称は、東京電力で「電灯」のグループに入る一番ベーシックなものが「従量電灯B」です。
【基本料金】
10A(アンペア)につき280円80銭(税込み)
※10Aとは、100Vで1000W(ワット)[=1kW(キロワット)]の機器を使用すると流れる電流です。
【電力量料金】
1kWh(キロワットアワー)につき
最初の120kWhまで(第1段階料金) :19円52銭(税込み)
120kWhをこえ300kWhまで(第2段階料金): 26円00銭(税込み)
300kWhを超過(第3段階料金) :30円02銭(税込み)
※1kWhとは、1kWの機器を1時間継続して使用した電力量です。
【東京電力(従量電灯)】
http://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/old01.html
「動力」は3相3線式200Vで供給されます。
契約メニューの名称は、東京電力で「動力」のグループに入る一番ベーシックなものが「低圧電力」です。
【基本料金】
1kWにつき1,101円60銭(税込み)
※1kWとは、3相機器の入力(出力ではない)が約1000W(1kW)の機器1台分の電力です。
【電力量料金】
1kWhにつき
7月1日~9月30日:17円06銭(税込み)
10月1日~翌年6月30日:15円51銭(税込み)
※1kWhとは、1kWの機器を1時間継続して使用した電気使用量です。
【東京電力(低圧電力)】
http://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/old02.html
というように、基本料金が安いのが「電灯」、高いのが「動力」。
逆に電力量料金が安いのが「動力」、高いのが「電灯」です。
ちなみに、基本料金とは契約電流や契約電力で決まってくるものです。
わかりやすく説明すると、一度にどれくらい電気が使用できるかといったもので、水道料金にたとえると水道管の太さです。
一度に大量の水を必要とする施設では太い水道管での供給が必要になりますが、その分基本料金が上がるしくみです。
電気の場合は契約の大きさ以上の電気を使用するとブレーカーが下がり、使用できなくなります。(例外もあります)
そしてもう一方の電力量料金とは、電気を使用した料金です。
外にある電力会社が取り付けしたメーターが回った分の料金のことです。
まとめ
以上が「電灯」と「動力」の違いについてでした。
概略を説明させていただきましたが、第1項についてはだいたい日本全国共通です。
ただし、第2項の料金の単価や契約の種類などは電気を販売する会社によって様々で、「電灯」と「動力」がセットになった契約メニューなどもあります。
種類が膨大ですので、詳しい内容は省略させていただきましたが、興味がある方は最寄りの電力会社などに問い合わせてみてください。
普通に電気を使っていて、突然「バチッ!!」とブレーカーが下がることがありますよね。
電気を使い過ぎていないのにブレーカーが下がった場合は、「ショート」の疑いがあります。
そういった際は、下の関連記事を参考にしてください。