お風呂に入ると、シャワーと蛇口の切り替えレバーに「カラン」って書いていますよね。
「んっ?」って思ったことはありませんか?
「カラン」……ちょっと不思議な音の響き、日本語ではなさそうだし、英語なの?
「カラン」とは、いったい何なのか?
ということで、今回は「カラン」と「蛇口」の意味の違いなどについて調べてみました。
1.「カラン」と「蛇口」の意味の違いや使い分けは?
まずは「蛇口」の意味を辞書で調べます。
・水道管などの先に取りつけ、ひねれば水が出るようにした金属製の口。
キッチンや洗面台、お風呂の水道に取り付けられているのが「蛇口」ですね。
ちなみに、「蛇口」は水を通す水道管が一般的ですが、水と水以外を区別する意味で通常は「水栓」や「給水栓」といった呼び方をします。
続いて「カラン」を辞書で調べます。
・水道管などの出口に付ける開閉栓付きの口金。水道の蛇口。
ということで、「カラン」も「蛇口」と同じ意味、同じものを指しています。
私の人生の中で最初に「カラン」という言葉を目にしたのはお風呂です。
初めて見たときは、「なんだ?」と思ったのですが、一方が「シャワー」って書いていたので、「あっ、これシャワーと蛇口の切り替えで、蛇口の意味か。」って感じで解釈していました。
これは推測ですが、「シャワーと蛇口」よりどちらもカタカナで「シャワーとカラン」にした方がスッキリ、といった恐らくはこんな感じでしょうかね…。
ところで、「蛇口」を英語にすると「tap(タップ)」か「faucet(フォーシト)」です。
それなのに、なぜ「カラン」なのでしょうか…?
ということで、次項では「蛇口」と「カラン」、それぞれの語源を調べてみます。
2.「カラン」と「蛇口」それぞれの語源は?なぜヘビ?
「カラン」とは、オランダ語の「kraan(クレーン)」、「クレーン車」のクレーンで、「鶴」の意味です。
水道管とその先についた蛇口が、鶴の首の曲線に似ているのが名前の由来なのです。
言われてみれば、クレーン車も何となく似ていますね。
鶴に似ているから「カラン」、ということは「蛇口」の由来も蛇に似ているから……というのはミスリード、実は「蛇口」の由来は水栓の見た目や形ではありません。
「蛇口」の語源を調べると、明治時代までさかのぼります。
日本では1887年(明治20年)から近代水道が始まりました。
当時、イギリスから輸入した公共水飲み場の水栓にはライオンの頭部の浮き彫り細工がありました。
ライオンはヨーロッパでは水の神なのです。
水は、農作物にも欠かせませんし、人間が生きていく上で欠かすことができないとても大切なものですから、どの国においても水の神はたいてい存在するものです。
もしかしたら、日本の温泉の噴き出し口がライオンの顔なのは、こういった理由があるのかもしれませんね。
そして、日本の水の神は「龍」です。
水の神「龍」は、元々は中国から伝来したといわれています。
日本でも龍のデザインで製造され、その後「龍」のモデルである「蛇」に変わっていったとういことです。
でも、日本でも太古の昔から「蛇」は、雨を呼ぶ天候神として信仰を集めていましたので、そういった理由もあったのかもしれません。
そして共用栓が「蛇体鉄柱式共用栓」と呼ばれました。
この共用栓の名前が家庭用にも受け継がれ「蛇口」と呼ばれるようになったのです。
つまり「蛇口」は、水の神である「蛇」のデザインをほどこしたのが「蛇口」と呼ばれるきっかけになりました。
「カラン」と「蛇口」のほかに、意味がまぎらわしい言葉って意外に多いです。
たとえば「修理」と「修繕」、この2つの意味の違いをご存知ですか?
詳しくは、下の記事を覗いてみてください。
まとめ
以上が、「カラン」と「蛇口」の違いなどについてでした。
カランの語源はオランダ語の「kraan(クレーン)」、見た目が鶴の首の曲線に似ていることからついた名前が、その後「カラン」と呼ばれるようになりました。
「蛇口」は形状が蛇に似ているからではなく、日本に近代水道が導入されたときに龍のデザインがほどこされ、それが蛇に変わったためです。
ほかにも意味がまぎらわしい言葉って意外に多いです。
たとえば前後をひっくり返しただけの「作動」と「動作」、この言葉の違いをご存知ですか?
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