「鉄道」といえばJRの列車が走るやつ。
そして、「鉄道」も「軌道」も電車が走る「レール」などの施設。
では、「鉄道」と「軌道」っていったい何が違うの?
ということで、今回は「鉄道」と「軌道」の違いなどについて調べてみました。
1.「鉄道」と「軌道」の意味の違いは?
「鉄道」と「軌道」を広辞苑で引いてみました。
・レールを敷設した線路上で動力を用いて列車を運転する施設。日本では1872年(明治5年)新橋・横浜間に初めて開通。法制上は路面電車のように道路に敷設されるもの(軌道)は除かれる。
つまり、列車を走らせるレールを敷いた施設のことで、その中でも道路上の路面電車用の施設以外ということですね。
「軌道」を調べる前に、答えが分かっちゃったような気もしますが(笑)、一応、「軌道」も調べてみます。
・車の通る道。路盤の上につくった線路構造物の総称。レール・枕木・道床などから成る。法制上は路面電車のように道路に線路を敷設して輸送を行う鉄道を指す。
(以下省略)
要するに、「軌道」とは、道路の上に敷設されたレールなどの施設のことですね。
わかりやすく言うと、車や人が使う一般的な道路につくられた、路面電車用の施設が「軌道」です。
そして、「鉄道」は道路以外の専用の敷地につくられた、列車専用の施設のことです。
ちなみに「鉄道」は、一般の道路には設置できないことになっています。
では、なぜ「鉄道」と「軌道」、二つの呼び方があるのでしょうか?
これは、道路を管轄する旧建設省と、鉄道事業を管轄する旧運輸省といったように行政が分かれていたからなのです。
そして法律も「鉄道事業法」と「軌道法」に、分かれているからなのですね。
ちなみに、建設省も運輸省も2001年に国土交通省に統合されて、現在は一つになっています。
【鉄道】
・道路に設置できない。
【軌道】
・道路以外に設置できない。
2.「鉄道」と「軌道」の歴史は?
①「鉄道」の歴史とは!
まず、前項の辞書にもあるとおり明治5年に日本で最初の鉄道が開通します。
東京都の新橋と、神奈川県の横浜の間です。
そして、明治14年には日本最初の民間鉄道会社、日本鉄道会社が発足しました。
日本鉄道会社は現在のJR東日本です。
その後、私設鉄道も次々に建設されます。
明治33年には私設鉄道法と鉄道営業法が公布されて、鉄道の営業に関することが法律で規定されます。
そして、大正8年に地方鉄道法が公布されまました。
昭和61年に鉄道事業法が公布。
この鉄道事業法が現在の法律です。
昭和61年当時は運輸省の管轄だったのですが、現在は国土交通省の管轄となっています。
②「軌道」の歴史とは!
明治23年に軌道条例が制定。
そして、最初の路面電車は明治28年に京都で運行が開始されました。
大正10年に軌道法が公布されますが、この軌道法が現在の法律です。
軌道法は建設省が管轄だったのですが、現在は国土交通省の管轄となっています。
3.「鉄道」と「軌道」、スピード制限の違いは?
鉄道の速度は、新幹線だと時速300㎞を超えます。
当然、標識などもありますのでスピードを制限される区域はありますが、かなりのスピードを出せることになります。
最高スピードの制限があるのか気になりますよね。
鉄道については、その列車の運行計画の届け出の際に、その列車の最高速度が、安全上支障がないことを書類によって証明しなくてはいけません。
ですから、「○○㎞以上は違反」といったものはないのですね。
軌道の場合は道路を走りますので、当然ですがスピードを抑えなくてはいけません。
軌道の制限速度は時速40㎞以下で、さらに平均速度は時速30㎞以下と決められています。
ただし、道路を走りますのでその道路の最高速度を守らなくてはいけません。
ですから、道路にスピード制限の標識があれば、そのスピードを守らなくてはいけないのですね。
仮に、道路の制限速度が60㎞だった場合、路面電車は40㎞しか出せないということです…。
4.モノレールは「鉄道」?「軌道」?
では「モノレール」、これって「鉄道」なのか「軌道」なのか…。
このモノレール、実は「鉄道」もあれば「軌道」もあります。
1972年までは「鉄道」として、その法律にのっとり運行されていました。
ですから、1970年に開業した「湘南モノレール」は現在も鉄道です。
しかし、モノレールは実際にそのレールの支柱が道路に建設されて、大きなスペースを要します。
そういった実状を踏まえて、1972年に「都市モノレールの整備の促進に関する法律」ができました。
そいったこともあり、1972年以降に開業したモノレールは、多くが「軌道」になります。
ただし、2001年に開業した「舞浜リゾートライン」は「鉄道」です。
実は舞浜リゾートラインのレールは、「道路」ではなく「私有地」に建設されているのです。
線路を設置することを「ふせつ」といいますが、この「ふせつ」、実は漢字にすると「敷設」と「布設」があります。
「敷設」と「布設」の違いについては、下の記事で解説していますのでよかったらご覧ください。
まとめ
以上が「鉄道」と「軌道」の意味の違いなどについてでした。
「鉄道」とはレールを敷いて列車を走らせるための施設で、道路につくってはいけません。
「軌道」は路面電車のように、道路の上にレールを敷いたもので、道路以外につくってはいけません。
「鉄道」と「軌道」の違いは、道路の上にレールがあるかどうかです。
読み方が違うのに意味がまぎらわしい言葉って、意外に多いです。
たとえば「策定」と「作成」、この2つの意味の違いをご存知ですか?
詳しくは、下の記事を覗いてみてください。