「状況」と「状態」、似ている意味の言葉です。
自分は、これまで使い分けに悩んだことはなく、思いついた方を使っていました…。
しかし、「状況」と「状態」、よくよく調べてみたら意味が違っていました…。
要するに、キチンと使い分けをしなくていけないということ!
今まで、自分が作成した文書は、多分めちゃくちゃです…。
ということで、本記事では「状況」と「状態」の意味の違いについて例文を使ってわかりやすく説明していきます。
1.「状況」と「状態」の意味の違いと使い分けは?英語では?
「状況」と「状態」、それぞれを広辞苑で引いてみました。
その場の、またはその時のありさま。ある人をとりまく社会的・精神的・自然的なありかたのすべてをいう。様子。情勢。
【状態】
物事がその時そうなっている(特に外面からもそれと分る)ありさま。ようす。
うーん、分かりづらいですね。
では、漢字の「況」と「態」を調べます。
おもむき。ようす。
【態】
かたち。すがた。ありさま。
ということで「状況」と「状態」の違いなのですが、「状態」は対象とする物そのものの姿かたち、「状況」は周囲の様子などを含む事の動きをさしています。
また、「状態」は物のかたちですので時間の経過についての概念はなく、一瞬つまりその時点の物のありさまをいい、「状況」は時間の経過を考慮した継続的な事の進み具合をいいます。
たとえば、「交通事故現場の状態は?」というと、「大破した車が止まったまま」だとか「現場の道路にはスリップのタイヤ痕が残っている」など事故現場そのものの一瞬の切り取った場面のことを答えます。
「交通事故現場の状況は?」というと、「救急車やパトカーがやってきて騒然としており、一般車両は通行止めになっている」「野次馬が集まって、徐々に野次馬の数が多くなっている」など、交通事故現場の周囲や人、交通事故現場で行われている事の流れを答えます。
「状況」と「状態」の使い分けや例文がこちら。
①健康状態
体の具合や調子、体の状態
②昏睡状態
外界の刺激に全然反応せず意識のない状態
③膠着状態
行き詰って進まない状態
④極限状態
理性を保てるギリギリの状態
※上記の4例は、物や人の一瞬のかたち、今現在の姿をあらわしています。
①周囲の状況
周辺の様子、事の動き
②状況が好転する
様子が良い方向へ進み始めること
③状況を把握する
周囲の様子を理解すること
④状況を見極める
事の真偽を知り尽くす、判定すること
※上記の4例は、事の動き、時間の経過も含んでいます。
ちなみに、英語では「状態」は「condition(コンディション)」や「state(ステート)」といいます。
「状況」は「condition(コンディション)」や「situation(シチュエーション)」です。
それでは、おさらいで「状況」と「状態」の違いをわかりやすくまとめます。
【状況】
・時間の経過も含めた物事のありさま。
【状態】
・時間の経過はない固定的な物のありさま。
実はこの「実情」と「実状」にも違いがあります。
もしよかったら、下のページで詳しく解説していますので、覗いてみてください。
2.「状況」と「情況」の違いは?「状態」と「情態」の違いは?
実は、「状況」も「状態」も、「状」の字が「情」に置き換わった言葉もあるのです…。
分かりにくいですよね…。
ということで、「情」の字の方も調べてみました。
「状況」と「情況」は、広辞苑では同じ項目で載っていました。
ですから、意味には違いはありません。
現在、一般的に使われるのは「状況」です。
昔は「情況」も多く使用されていましたが、現在は「状況」の方が一般的になりました。
当時は、意味も違い以下のように使い分けされていました。
「状況」は客観的に外から見た移りゆく様子、「情況」はもっと深く内面的な事情も含め移り行く様子といった違いです。
内面的な心の様子まで含めるのが「情況」です。
「状態」と「情態」は、広辞苑では別々の項目でした。
「状態」の意味は前項のとおり、「情態」は「心のありさま。ようす。(広辞苑より)」とのことです。
こちらも「状況・情況」と同様、外から見て分かる姿かたちが「状態」、心の内面的なありさまは「情態」です。
「現況」と「現状」の違いについては、コチラの関連記事をどうぞ!
まとめ
以上が、「状況」と「状態」の違いなどについてでした。
その物のその時、一瞬の姿かたちを「状態」、その事の動きや周囲の環境や雰囲気まで含めた様子が「状況」です。
「状況」「状態」の「状」の字が「情」に変わると、内面的な部分も含んだ意味になります。
「状況」や「状態」のように、日本語はまぎらわしい言葉が結構多いです…。
「乗せる」と「載せる」もその1つですが、「打球を風にのせる」や「売り上げを1億円の大台にのせる」はどっちの「のせる」だと思いますか?
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