「ティッシュ」と「ティシュー」、私自身が発音するときには「ティッシュ」、書くときも「ティッシュ」です。
完全に「ティッシュ派」ですね。
でも、実際にティッシュの箱を見ると「ティシュー」って書かれています……。
なぜ「ティッシュ」ではないのでしょう???
ということで、今回は「ティッシュ」と「ティシュー」の違いなどについて調べてみました。
1.「ティッシュ」と「ティシュー」の違いは?どっちが正しい?
①英語の発音
まずは、英語での発音から調べます。
英語では「tissue」、元々は布などを意味するフランス語からきています。
英語でも「薄い紙」のほかに「織物」という意味を含んでいます。
英語をそのままカタカナ表記すると「s」が2つ重なっているので「ティッシュ」かなと思いますが、発音は「ティシュー」の方が近いです。
では実際の音声を下の動画で聞いてみてください。
【「tissue」の発音】
ということで、実際の英語の発音は「ティシュー」が一番近いと判断できます。
②広辞苑
では、広辞苑にはどっちで載っているかというと……引いてみたところ、「ティッシュ・ペーパー」で載っていました。
「ティシュ・ペーパー」もありましたが、こっちは「ティッシュ・ペーパーを見ろ」となっていたので、広辞苑では「ティッシュ・ペーパー」が正しいようです。
ということで、広辞苑では「ティッシュ」ですね。
③業界団体
今度は業界団体がどう言っているのかを見てみましょう。
日本家庭紙工業会では「ティシュペーパー」、つまり「ティッシュ」でも「ティシュー」でもなく「ティシュ」です。
日本製紙連合会では「ティッシュペーパー」と「ティシュペーパー」の両方がありましたので、おそらくこだわりはないものと思われます。
「ティシュ」か「ティッシュ」かということになりますが、どちらかは不明です。
④行政機関
では行政機関ではどいいった表現をしているのか。
消費者庁の「雑貨工業品品質表示規程」では「ティシュペーパー」と表記していますで「ティシュ」です。
経済産業省管轄の日本工業規格の紙・板紙及びパルプ用語(JISP0001)では、「ティシュペーパー」と記載されていますので「ティシュ」ですね。
環境省は「ティッシュペーパー」を使っていますので「ティッシュ」です。
これはやはり日本工業規格、つまりJIS規格の「ティシュ」が一番重みがあるような気がします。
⑤製品名
最後に実際の製品名を調べます。
・クリネックス:ティシュー
・ネピア:ティシュ
製品名は「ティシュー」か「ティシュ」と表示されています。
⑥結論
ということで、「ティッシュ」と「ティシュー」と「ティシュ」どれが正しいかは一概にはいえません。
「ティッシュ」は無さそうに思えますが、実際に環境省が使っています。
ですが、実際の英語の発音のほか、実際の製品名やJIS規格などの表記でもあるように「ティシュー」か「ティシュ」が最も正解に近いものと判断できます。
2.「ちり紙」とは?「ティシュー」との意味の違いは?
では、ここからはまぎらわしいので「ティシュー」という表記に統一しますね。
「ティシュー」はパルプが原料の薄く柔らかい紙製品です。
パルプとは木材を細かくしてとる繊維のことです。
薄くて柔らかいのが特徴、薄すぎるために2枚1組で耐久性を高めていることが多いですね。
「ちり紙」は日本に昔からある低級品の和紙のことです。
ちり紙を漢字で書くと「塵紙」、「おとし紙」と言うこともあります。
ちなみに「塵紙」の「塵(ちり)」はゴミのことです。
原料はコウゾという木の外皮で、特にクズになる皮を使って作られた紙です。
ちり紙の本来の役目は、高級和紙を保護するための紙でした。
高級和紙の最下部と最上部にちり紙を敷いたのですね。
ということで、「ちり紙」と「ティシュー」の違いは、「和紙」と「洋紙」の違いです。
原材料も違いますし、製造方法でもティシューの方がより大量生産向きといえます。
日本でティシューが初めて発売されたのが1953年、それ以前はちり紙が使われていました。
ティシューの普及によってちり紙は使われなくなったのですね。
また、ちり紙はトイレの紙としても使用されてきました。
先に紹介した「おとし紙」とはトイレ用の紙のことで、下に落とすからおとし紙です。
ただ、これもトイレットペーパーの普及によって使われなくなりました。
ちなみにちり紙もティシューも不溶性なので水には溶けません。
ですから、水洗トイレには流せませんよ。
ちり紙がトイレで使われていた時代は下に落とすトイレで、水洗トイレの時代ではなかったのですね。
まとめ
以上が、「ティッシュ」と「ティシュー」の違いなどについてでした。
JIS規格やメーカーでは「ティシュ」または「ティシュー」と表記していますし、実際の英語の発音も「ティシュー」に近いです。
ですから本来は「ティシュ」か「ティシュー」です。
しかし、一般的には「ティッシュ」と言うことも多く、もはや市民権を得ているといってもよいでしょう。
これは日本人にとっては「ティシュ」や「ティシュー」よりも、なんとなく「ティッシュ」の方が発音しやすいというのが理由かもしれません。
私も書きながら、「ティシュ」や「ティシュー」と声に出して言ってみましたが、なんだかしっくりきませんでした(^^;)
やっぱり「ティッシュ」だわ。
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