「付託」と「負託」。
読み方はどちらも「ふたく」です。
両方の言葉の意味を辞書で調べてみましたが、自分の辞書ではこの2つの違いがわかりやすく解説されていません…。
それほど、わかりにくい言葉なのですね…。
でも大丈夫!さらに深く紐解いてみましたよ!!
ということで、本記事では「付託」と「負託」の意味の違いや使い分けについて徹底的に調査した結果をお伝えしていきます。
かなり、深掘りしていますのでご期待ください。
1.「付託」と「負託」の違い!
最初に、「付託」と「負託」の違いについて端的にお伝えします。
「負託」とは、別の人に引き受けさせてまかせることですが、さらに責任などをおわせることです。
「別の人にまかせる」という部分は同じですし、なんとなく似ていますが…。
では、違いの部分を細かく説明していますね。
①別の人に「何を」まかせるのか?
他人にまかせることである「付託」と「負託」の最大の違いは、「何を」まかせるのか?という部分。
「付託」の方は、「物事」です。
しかも、その「物事」がハッキリしているので、何を行うべきなのか相手は理解して引き受けます。
そして「負託」の場合は、「責任がともなう物事」ということになります。
物事ではなく「責任がともなう物事」ですので、責務を負うことはわかるのですが、責任についてはなんとなく抽象的です。
「負託」の場合は責任が伴う分ある意味重い物をまかせることになります。
ただし、責任をおうということは、逆に期待を背負うということでもありますので、悪いことばかりではありません。
②「付」と「負」の違いとは?
今度は、「付託」の「付」と「負託」の「負」をくらべてみましょう。
ちなみに、「付託」は元々「附託」だったのですが、昭和の時代から「付託」の方が多く使われるようになりました。
「付」と「附」は、どちらも「つける」という意味があります。
ですから、「付託」とは、「付けて」「託す」ということ。
物事などを、別の人に「付けて」「託す」のですね。
そして「負託」の方は、「負わせる(おわせる)」ことを別の人に「託す」です。
つまり、責任を「負わせる」ことを別の人に「託す」ですね。
③「付託」を使う場面は議会が主となる!
「付託」は「物事」、「負託」は「責任がともなう物事」と説明しました。
ですから「責任がともなう物事」の方の「負託」は、責任が生じるあらゆる場面で使われる言葉。
一方の「付託」は、「物事」なのですが一般的に限定された物事になります。
たとえば、「問題の処理」「審議」「決定」など、議会等で使われることが多い言葉です。
「審議」と「協議」の違いについては、下の記事をご覧ください。
ちなみに、「問題の処理」「審議」「決定」以外の物事、たとえば仕事などを他人に任せる場合は「委託」や「外注」、「請負」といった言葉を使います。
「委託」「外注」「請負」については、下の記事を覗いてみてください。
つまり、「付託」を使う場面はかなり限られるということですね。
④「付託」と「負託」の違いを整理!
では、一旦「付託」と「負託」の違いを整理しますね。
「付託」の方は、「物事」をまかせます。
そして「負託」は、「責任がともなう物事」をまかせます。
「負託」の場合はその字のとおり「負わせる」ともいえます。
それから、「付託」される物事は主に「問題の処理」「審議」「決定」などに限られています。
物事でも「仕事など」をまかせる場合は、「委託」や「請負」といった言葉が使われます。
2.「付託」と「負託」の辞書での意味!
今度は、「付託」と「負託」の意味が辞書ではどういった解説がされているのかみていきましょう。
①「付託」の辞書での意味!
【付託】
・他に頼み任せること。特に、審議を委員会や他の機関に頼み任せること。引用元:旺文社国語辞典
内容は、最初の項目で説明したとおりですね。
また、「特に、審議」をまかせるという説明があります。
②「負託」の辞書での意味!
【負託】
・他に引き受けさせて任せること。「国民の―にこたえる」引用元:旺文社国語辞典
「負託」についての説明は「引き受けさせて任せること」しかなくわかりにくいですね。
これだと「付託」との違いがよくわかりません。
ですが、実際に「負託」は「責任がともなう物事」が対象となります。
3.「付託」と「負託」の使い方!
続いて、「付託」と「負託」の実際の使い方を例文で紹介していきます。
①「付託」の使い方!
・条例案を各常任委員会に付託した。
・人権問題を国際刑事裁判所への付託を勧告する。
・国民投票法改正案を衆院憲法審査会に付託する。
・開催する時期及び付託事項の素案の作業プロセスについて。
・欧州特許庁長官からの付託に対する意見を示した。
例文のとおり、「付託」される相手は個人というよりも「組織」「団体」が主になります。
②「負託」の使い方!
・謙虚に丁寧に国民の負託に応える。
・組合員の負託に応えるとともに、消費者に安全・安心な農産物を届ける。
・市民の負託を得た25人の議員。
・引き続き市民の負託に応える経営が求められている。
・保険契約者から負託を受けた保険会社。
4.「まかせる」「まかされる」という意味の言葉は意外に多い!
「付託」と「負託」はともに「まかせる」ことです。
この「まかせる」や「まかされる」という意味の言葉は、最初の項目でご紹介したとおり「委託」や「外注」、「請負」などがあります。
そのほかに、「受注」や「受託」といった言葉もあります。
「受注」と「受託」は、どちらも仕事などをまかされるといった意味の言葉。
ですが、この2つの言葉は微妙に使い分けされています。
「受注」は、「物品の取引」と「人の労働力」を引き受ける際に使用されます。
一方の「受託」は主に「人の労働力」を引き受ける時に使われるのです。
「受注」と「受託」の違いについては、下の記事でさらに詳しく解説していますのでもしよかったらご覧ください。
そのほかにも、似た意味の言葉はたくさんありますよ。
もしよかったら、下の記事も覗いてみてください。
参考にしていただければ幸いです。
まとめ
以上が、「付託」と「負託」の意味の違いや使い分けについてでした。
「付託」も「負託」も別の人にまかすことなのです。
ただし、「付託」してまかすのは「物事」。
そして「負託」してまかすのは「責任がともなう物事」ということになります。
「負託」は「負」という字が使われているとおり、「責任を負わす」という意味があるのですね。
それから、「付託」される物事は主に「問題の処理」「審議」「決定」など、議会で行われるようなことに限られています。